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演奏レビュー

プロコフィエフ『トッカータ』、『ロメオとジュリエット』、ソナタ第7番
トッ カータ的な部分の勇壮闊達さにおいては、女性ピアニストとしてはかなりの技術を持っていると言えるようが、むしろロメオとジュリエットの別れや、ソナタの アンダンテ・カロロソの緩除な部分の踏み込んだ表出力に、この人のダイナミックな表現力が見られる。人間の感情がうねるように伝わって来る、情感が膨張し た一種グロテスクなプロコフィエフ音楽の魅力を引き出せたのは、やはり研鑽の深さからだろう。(音楽の友・小倉多美子)
 
 
プロコフィエフ『シンデレラ』
舞 踏会でシンデレラと王子が初めて会う「アダージョ」から幸せな結末までの全曲を綴り、特徴的なリズムや幻想的な旋律を難曲から際立たせて不思議な物語を彷 彿とさせた。白眉だったのはソナタ。最初の第1番と第9番を休憩を挟んで置き、ピアニスティックな面や既に苦味の聞いた和音と単一楽章の中で若さがはちき れるように登場する第1番の演奏と、技巧性が背後に回り,深く沈静な響きが立ち込めた第9番が、作曲家像とリサイタル自体に広がりを持たせた。最後は難曲 バラキレフ『イスラメイ』を快奏。(ショパン・小倉 多美子)
 
プロコフィエフ、スクリャービン、ストラヴィンスキーというマニアックなプログラム。しかしどの曲も良くまとまっており、驚くほどのテクニックでタッチも無駄がなく、深い音色で素晴らしいものでした。(クラシックマガジン・佐野 寛)
 
繊細なタッチや表情の広さを聴かせるプロコフィエフ
定型封筒に入れるとちょうど良さそうな横長のチラシ、CDケー スよりやや大き目の正方形三つ折りのプログラムを、黒とシックな赤のみを使って印刷してあって、印象的なリサイタルを開いた田代薫。ドレスもそうした色を 意識したセンスの良さを感じさせたが、そもそもプログラムもユニーク。プロコフィエフ没後50周年記念というタイトルで、前半にはバレエ『鋼鉄の歩み』を 演奏者の編曲で、後半は『束の間の幻影』とソナタ第7番というもの。演奏とは直接関係ないが、こんなちいさなアイデアが演奏に対する期待をふくらませてく れるものである。演奏の方はプロコフィエフの破壊的エネルギーよりも、繊細なタッチや表現の広さを強調するもので、とてもセンスよい演奏が繰り広げられ た。前半の編曲は30分近くかかる力作だが、彼女の本質は『束の間の幻影』で発揮された。全曲演奏ではなく、抜粋だったのが残念だったが、作曲家が聞こう とした耳の鋭敏さを再認識させてくれるような、タッチのさまざまな工夫、試みがなされて、自身の特徴を明確に打ち出していた。彼女の芸術的センスの良さ は、また何らかの形で触れてみたい,そう感じさせるリサイタルだった。(ムジカノーヴァ・煉山 隆美)

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